<フルキャストセントラルへの要求事項>
1.朝日新聞(06/10/06)の報道によって、日野自動車が人材派遣会社14社との間で、実態は労働者派遣なのに出向を偽装する契約を結んでいたこと、そして、この偽装出向契約が職業安定法違反にあたるとして、今年7月26日に東京労働局から是正指導を受けたこと、が明るみに出ました。
この件ではすでに、日研総業の派遣社員が日研総業ユニオンを結成し、日野自動車及び日研総業と団体交渉を開始していますが、フルキャストセントラルから派遣された私たち派遣社員も、日野自動車の社員の人と一緒に毎日がんばって日野自動車のトラックをつくってきただけに、私たちをだまして利用していたことに強い憤りを感じています。
出向契約を偽装した経緯を私たちが納得のいくように説明して下さい。そして、私たちをだまして利用したことについて謝罪して下さい。
なお、偽装した出向契約や、貴社が私たちに出したことになっているはずの出向辞令、日野自動車と現在交わしている派遣契約、そして就業規則を説明資料として提出して下さい。
2.偽装出向の期間中、日野自動車が貴社に対し、どんな名目で1人1時間当たりいくら支払っていたのか説明して下さい。
日野自動車が貴社に対し、私たち「出向者に対する賃金」を支払っていたのなら、いかなる名目であれ、貴社が受け取ったお金の一部を差し引くことは法律上できないはずです。(職業安定法違反および労働基準法違反)
出向者賃金として受け取っていたのなら、貴社が法律に違反していわゆるピンハネしたことになる賃金を、ただちに労働者1人ひとりに返還して下さい。
3.貴社の求人広告には虚偽情報に相当する疑いのある記述がしばしば見られます。
情報の少ない地域の若者や中高年労働者に誤解を与える求人方法や宣伝は直ちに中止し、抜本的な是正措置を講じて下さい。
当面、以下に掲げる事例について調査、釈明を求めます。なお、当方の指摘通りに誇大宣伝や虚偽情報に該当する事実があった場合は、貴社及びフルキャストのホームページと携帯サイト、及び都内及び各地方の主要求人誌紙に謝罪広告を掲載した上、関係者の実損を回復する措置を講じて下さい。
(1)「生活支援プラン」
貴社は現在、「手取り増えます(備品代無料、寮費無料、光熱費無料)」を謳い文句にした「生活支援プラン」を全国各地の求人紙や貴社情報サイトに掲載しています。
この広告には、寮費が無料になる代わりに時給が減額されることが明記されていませんが、これはなぜですか?
また、「時給は安くなるが、寮費などが無料だし、社会保険料も減額になる」と説明している営業所もありますが、なぜ社会保険料が安くなるのか根拠を示していません。実際に社会保険料が安くなった事例がありますか?
採用後に気がついて、「生活支援プラン」を止め、通常の採用条件で働きたい(寮費などを支払うので、時給も通常にしてほしい)と申し出たら、「退寮しなければならない」と言われた事例もありますが、これは全社的規則に基づく措置ですか?
しかも、同じ時間働いたと仮定して試算すると、「生活支援プラン」適用の場合の方が通常より1万円程度安くなる可能性があることが分かりましたが、これが事実なら、「生活支援プラン」は「生活侵害プラン」ということになりませんか?
(2)「週払い制度」
また、貴社の求人広告には、「手持金の心配なし」、「週払い制度あり」といった宣伝も頻繁に掲載されています。
しかし、「週払い制度」は、その週の就労分全額ではなく、その人によって1週2万円、1カ月6万円などの上限が定められていることが明記されていません。
他方で、フルキャストファイナンスの紹介が頻繁に行われており、クレジットローン利用者を増やすための方策ではないかとの疑いが生じかねません。
(3)「32万円以上可」
同じく求人広告には、「月収32万円以上可」と謳い、その内訳として、「東京都日野市・羽村市/急募 時給/1,200円 21日勤務、残業30時間以上、休出1日、皆勤手当含む」と書かれています。
しかし、この労働時間で、どのようにすれば「32万円以上」になるのか疑問があります。「32万円以上可」という計算方法及び実例を基に説明して下さい。
(4)「社員登用制度あり」
正社員とはフルキャストセントラル、派遣先のいずれを指すのか、また、具体的な制度内容や採用基準が明記されていません。
4.都民銀行を利用した「前給制度」があると聞きますが、その内容を明らかにして下さい。
5.作業服及び作業具類は、貴社または日野自動車の負担で無償貸与して下さい。
少なくとも、日野自動車工場内の売店の販売価格を上回る高値で販売するのは中止し、差額を派遣社員に返還して下さい。
6.寮費は無料を原則とし、費用はフルキャストセントラルと日野自動車が連帯して負担するようにして下さい。
7.昇給制度を設けて下さい。(ちなみに、期間工は日給が500円上がります)
8.現在すでに1年を超えて就労している者に対し、期間工の慰労金に相当する金員を支払って下さい。
9.期間工とフルキャストセントラルの賃金水準格差を解消し、均等待遇を保障して下さい。
<日野自動車への要求事項>
1.朝日新聞(06/10/06)が報道した、「偽装出向」で東京労働局から是正指導を受けた 件について、フルキャストセントラルの派遣社員は日野自動車から全く経過説明を受けていません。日野自動車の社員の人と一緒に毎日がんばって日野自動車のトラックをつくってきたのに、私たちをだまして利用していたことになる訳で許せません。
なぜ、そんな法律違反を犯したのか、フルキャストセントラルの派遣社員を工場別に集めて、納得のいく説明をして下さい。そして、私たちをだまして利用したことについて謝罪して下さい。
また、偽装した出向契約や、偽装期間中に私たちに適用されていたはずの就業規則、現在フルキャストセントラルと交わしている派遣契約を見せて下さい。
2.「偽装出向」の期間中、日野自動車はフルキャストセントラルに対し、どんな名目で1人1時間当たりいくら支払っていたのか説明して下さい。
日野自動車がフルキャストセントラルに対し、「出向者に対する賃金」を支払っていたのなら、いかなる名目であれ、フルキャストセントラルが受け取ったお金の一部を差し引くこと法律上できないはずです。(職業安定法および労働基準法)
出向者賃金を支払っていたのなら、私たちはフルキャストセントラルに対し、法律に違反していわゆるピンハネしたことになる賃金の即時支払いを請求しますので、フルキャストセントラルに支払うよう指導して下さい。
3.出向契約が法律に違反した偽装ならば、偽装期間中、フルキャストセントラルの派遣社員は法律上どのような立場ではたらき、日野自動車はどのような契約に基づいて私たちを受け入れていたことになるのか説明して下さい。
私たちは出向契約が偽装である以上、今年8月以前から派遣契約に基づいて派遣され、派遣労働者としてはたらいたことになり、派遣期間がすでに実質的に1年を超えた組合員もいることになると考えていますので、貴社の正社員として直接雇用されたいと希望して申し出た組合員に対し、ただちに労働者派遣法第40条の4に基づく雇用契約の申し込みを行って下さい。
4.派遣社員はすでに1,000人を超えており、貴社の製造現場の基幹的労働力になっているといっても過言ではないと思います。その基幹的労働力の派遣社員が細切れ雇用による雇用不安に絶えず脅かされている現状は、高品質のトラックを安定供給するうえでもプラスにはならないのは明らかです。
派遣社員の雇用安定と技能レベルの向上のために、希望する派遣社員を直接雇用する制度を創設して下さい。
なお、現在すでに「期間工には採用基準がある」旨、第1回団体交渉で説明されましたが、その具体的内容を明らかにして下さい。
5.フルキャストセントラルの求人広告には、虚偽情報に相当する疑いが濃厚な内容が多数含まれています。そして、それが貴社本社工場及び羽村工場の増産に合わせた緊急増員のために行われているものと考えられます。
具体的には、「寮費、備品代、光熱費無料」、「手取りが増えます」と大々的に謳った「生活支援プラン」や、「時給/1,200円 21日勤務、残業30時間以上、休出1日、皆勤手当含む」で「月収32万円以上可」と明記した求人広告で、これが全国いっせいに宣伝されています。(資料2)
しかし、別途添付資料1に詳しく述べたとおり、これらはいずれも虚偽広告の疑いがあり、当方は事実関係の説明を求めています。
フルキャストセントラルは、貴社のグループ会社でもあることをふまえて、これら問題点に関しては貴社も速やかに調査の上、当方の疑問に答え、同社に必要な改善指導を行うなど実効性ある対策を講じて下さい。
6.日研総業、フルキャストセントラルをはじめ、派遣会社各社の派遣社員の雇用、賃金、労働条件の改善について、貴社が実行可能な措置を講じて下さい。
団交申入書でも述べたとおり、貴社の製造ラインで同じ労働に携わっている期間工と派遣労働者の年収格差が100万円にも及んでいるのは、貴社が節約した労務費コストが派遣労働者にツケ回される構造から生まれています。(資料3)
期間工との均等待遇保障の観点に立って、貴社が主導して派遣会社各社と協議し、当面まず次の実現可能な対策から実行して下さい。
(1)寮費、備品代、光熱費を原則として無料とすべく、段階的な減免措置を実行して下さい。
(2)寮生活にプライバシー保護の観点に立って寮の設備改善を実施して下さい。
(3)作業服、作業用具を無償貸与して下さい。
(4)派遣社員にも慰労金を支給して下さい。
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